袴田事件控訴断念検事総長談話
袴田事件再審無罪判決に対して控訴を断念した検事総長談話によれば、「5点の衣類を捜査官の捏造と断じた」ことに「強い不満」を表明し、「時系列や証拠関係とは明白に矛盾する」とした。しかしここにいう「時系列」などというのは些細な問題であり、仮にそのズレがあったとしても「捏造」の事実が揺らぐものではあり得ない。単にケチをつけているに過ぎない。
そもそも、「控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」としながら、控訴断念することこそ致命的な矛盾であり、控訴断念の理由として何ら説得力をもたない。
控訴断念という結論を維持するために、検察内部向けにあえて矛盾した弁明をせざるを得なかったのかとも想像するが、それにしても、国民に対しては、犯人視を維持したままの控訴断念という異例の談話となってしまう。みっともない、あり得べからざる談話といわざるを得ない。
そんなことよりも、検察調書を捏造とまで断じた点に無罪判決批判を集中した方が検事総長らしい格式ある談話になったであろう。検察は当時、警察署の取調室に出入りし、警察と入れ替わりで自白を強要していた(今市事件も同様の構図である)のであるから、検察調書も捏造といわれておかしくないが、判決がここまで踏み込んで評価したのは前例がない。もっとも、この点は評価の問題であるから、いくら批判しても犯人視にはならず、この点に集中すれば、検察の立場としてはそれなりに納得できるものになったかもしれない。
ところで、袴田事件再審無罪は、何よりも、死刑廃止をこそ真剣に検討すべき時に来ていることを示している。誤審による死刑は取り返しがつかない。袴田事件を再審法改正に繋ぐべきは当然ではあるが。
同時に、えん罪原因を究明する第三者機関を国会に設置することこそ、少数与党時代のいま、喫緊の課題として求められているのではないだろうか。
| 固定リンク


最近のコメント