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2020年12月

2020年12月15日 (火)

国家機関と独立性

首相が、学術会議推薦候補者6名の任命を拒否した。任命権が首相にあるから拒否できるという。その根底に、国家の機関は国の税金で賄われるから国民の負託を受けた内閣がその運用に責任をもつべきであるという考え方がある。

この論を進めれば、国立大学の先生は国税から給料が出ているから、内閣が人事などに介入する責任があるということになる。これでは大学の自治などないに等しい。

要するに、国がお金を出すところには独立性がないのか、という問題である。

金は出しても口は出さない、というのが学問の自由であり、近代民主主義の進化の歴史であったはずだ。

国連が推進する国内人権機関(国家人権委員会)は、国際人権を各国内に実現するために、各国に国の機関として作られる人権委員会である。公的機関であるが政府からの独立性がなければならない(パリ原則)ものとして、1993年国連総会で決議され、現在123ヵ国で設置されている。2002年には韓国国家人権委員会が設置され、ときの政府に対しても遠慮なくその立法や施策を批判している。しかしその費用はすべて国が負担しているのだ。

各種第三者機関の設置が時代の要請とされているが、金は出すけれど口は出さないというのが第三者機関の要諦である。国家人権委員会はその最たる第三者機関である。

私が編著に関わった、近刊『国際水準の人権保障システムを日本に 個人通報制度と国内人権機関の実現を目指して』(日弁連第62回人権大会シンポ第2分科会実行委員会編・明石書店)は、国家人権委員会について、最新の情報を含め、これ1冊を読めば全体像がよくわかる構成になっている。監視社会に対抗する国内人権機関の役割や、日弁連人権大会シンポで私が司会を務めたパネルディスカッションの模様など満載している。

国連条約機関が日本政府に対して、政府から独立した国家人権委員会を設置するようにと度々勧告しているが、これに対して日本政府は、前向きに取組むことを表明している。

ぜひ多くの人にこの本を読んでいただき、日本で早期に国家人権委員会設置を実現したい。

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