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2017年6月 8日 (木)

共謀罪が思想信条の自由を侵害する

 共謀罪は計画(合意)だけで成立するから、客観的証拠がない場合が通常である。準備行為という要件も、その範囲があいまいで漠然としており、それが計画に基づくかどうか、その目的を評価しなければ意味がないから、結局、合意の事実そのものを立証しなければならない。

その合意自体があいまい、かつ、しばしば変遷するものであるから、いつの時点のどのような合意を捉えるか、きわめてファジーである。それだけに、恣意的立証がまかり通る恐れがある。誰かが過激な発言をすればその部分を捉えられるところが、共謀罪の怖さである。

言った、言わないを直接的に立証する方法は、盗聴しない限り、その場で聞いたという者の自白しかない。従って、「共犯者の自白」が不可欠で、これまで以上に強圧的な取調べが行われる。

取調べに弁護人の立会いを認め、司法が独立している諸外国と比べて、「中世」とも揶揄されている日本の刑事司法である。昨年の刑訴法改正により、盗聴対象が一般犯罪に拡大され、司法取引が導入された。証人に不利益な証拠としない約束で証言を強制する刑事免責制度が共謀罪にも適用され、共犯者の自白が強制される。共犯者(証人)の名前が弁護人にさえ匿名にされる証人秘匿制度もでき、警察のスパイかどうかの見極めもできなくなった。

自白調書の任意性、信用性を争う場合、通常、客観証拠と自白の矛盾を突く方法がとられるが、共謀罪の場合は客観証拠に乏しく、争うことが困難になるだろう。

共謀罪が成立したら、自白偏重に拍車がかかる。どれほどえん罪が拡がるか、想像するだけで慄然とする。

共謀の間接的な立証方法としては、これまでの団体の活動の積重ねで目的を立証し準備行為と合わせて推認するしかない。団体員の内心ないし思想傾向、団体の性格などを日頃の活動から調査蓄積し、情報収集しておかなければならない。日常的な監視が不可欠である。

ところで準備行為は、犯罪行為自体とは異なり、合意に基づく外部的行為(顕示行為=オーバーアクト)であって、それ自体では違法性を基礎づける危険な行為ではないから、単なる処罰条件に過ぎない。いくら、政府が構成要件だと言っても、裁判所では処罰条件とされるであろう。従って、計画だけで、準備行為がなくても、捜索・差押、逮捕ができる(起訴も可能)。その脅しだけで十分に効果を発揮する。

共謀罪が一般市民の思想信条の自由を侵害する所以である。政府が共謀罪にこだわる真の理由は、法案が市民を監視、抑圧する格好の武器になるからとしか思えない。

刑訴法・盗聴法改正が共謀罪をはるかに機能させる。共謀罪を廃案にしたこれまでとは異なる情勢であるが、共謀罪の毒性が知られ、今の内閣は平気で嘘をつくということが暴露され反対運動が大きく拡がれば、内閣の死命を制することになろう。

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