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2017年6月

2017年6月22日 (木)

忖度だけで進むわけがない

首相の側近や内閣府が勝手に忖度して手続を進めることはあり得ない、という趣旨の530日付ブログを書いた。「首相の意向がない限り、動きようがない。」とも書いた。

現在大騒ぎになっている加計学園問題は、総理の意向に基づくものか否かが最大のポイントである。総理の意向を確認することなく、その側近や官僚が忖度だけで動こうとすれば、あとでこのような大問題として騒がれるリスクを負うことになる。「李下に冠を正さず」ともいわれる。だから勝手な忖度などできない。それは安倍内閣そのものの危機を招きかねない。そうである以上、総理本人の意向を確認しないでことを進めることは絶対にできない。

従って、本件は、必ず総理と協議しないでは進められない。総理の意向そのものに基づくものであり、萩生田官房副長官や山本地方創生担当相発の動きではあり得ない。総理を先頭とする「共謀共同正犯」である。

それは常識ではないか。なぜ、メディアはもっと断定的に報じないのか。「言い分が食い違っている」というに留まるのではなく、彼らの言い分はウソであると明確に報じないのか。

文科省のトップは、内部文書の存在は認めたが、そこで記載されているのは「不正確だ」など言っているようだが、どこがどのように不正確かを具体的に指摘しなければ反論にならない。というか、そのようにその上から言わされているだけだと、どうしてはっきり報じないのか。

ことは萩生田副長官に留まる問題ではない。必ず総理に直結する。子供が見てもわかる茶番劇が進めは進むほど、この国は墜ちるところまで落ちていくのか。

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2017年6月 8日 (木)

共謀罪が思想信条の自由を侵害する

 共謀罪は計画(合意)だけで成立するから、客観的証拠がない場合が通常である。準備行為という要件も、その範囲があいまいで漠然としており、それが計画に基づくかどうか、その目的を評価しなければ意味がないから、結局、合意の事実そのものを立証しなければならない。

その合意自体があいまい、かつ、しばしば変遷するものであるから、いつの時点のどのような合意を捉えるか、きわめてファジーである。それだけに、恣意的立証がまかり通る恐れがある。誰かが過激な発言をすればその部分を捉えられるところが、共謀罪の怖さである。

言った、言わないを直接的に立証する方法は、盗聴しない限り、その場で聞いたという者の自白しかない。従って、「共犯者の自白」が不可欠で、これまで以上に強圧的な取調べが行われる。

取調べに弁護人の立会いを認め、司法が独立している諸外国と比べて、「中世」とも揶揄されている日本の刑事司法である。昨年の刑訴法改正により、盗聴対象が一般犯罪に拡大され、司法取引が導入された。証人に不利益な証拠としない約束で証言を強制する刑事免責制度が共謀罪にも適用され、共犯者の自白が強制される。共犯者(証人)の名前が弁護人にさえ匿名にされる証人秘匿制度もでき、警察のスパイかどうかの見極めもできなくなった。

自白調書の任意性、信用性を争う場合、通常、客観証拠と自白の矛盾を突く方法がとられるが、共謀罪の場合は客観証拠に乏しく、争うことが困難になるだろう。

共謀罪が成立したら、自白偏重に拍車がかかる。どれほどえん罪が拡がるか、想像するだけで慄然とする。

共謀の間接的な立証方法としては、これまでの団体の活動の積重ねで目的を立証し準備行為と合わせて推認するしかない。団体員の内心ないし思想傾向、団体の性格などを日頃の活動から調査蓄積し、情報収集しておかなければならない。日常的な監視が不可欠である。

ところで準備行為は、犯罪行為自体とは異なり、合意に基づく外部的行為(顕示行為=オーバーアクト)であって、それ自体では違法性を基礎づける危険な行為ではないから、単なる処罰条件に過ぎない。いくら、政府が構成要件だと言っても、裁判所では処罰条件とされるであろう。従って、計画だけで、準備行為がなくても、捜索・差押、逮捕ができる(起訴も可能)。その脅しだけで十分に効果を発揮する。

共謀罪が一般市民の思想信条の自由を侵害する所以である。政府が共謀罪にこだわる真の理由は、法案が市民を監視、抑圧する格好の武器になるからとしか思えない。

刑訴法・盗聴法改正が共謀罪をはるかに機能させる。共謀罪を廃案にしたこれまでとは異なる情勢であるが、共謀罪の毒性が知られ、今の内閣は平気で嘘をつくということが暴露され反対運動が大きく拡がれば、内閣の死命を制することになろう。

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2017年6月 7日 (水)

共謀罪の対象は一般市民

共謀罪の対象は「組織的犯罪集団」といわれるが、条文上は組織的犯罪集団の一員でなくても、複数の個人が犯罪主体とされている。

条文の中に、「組織的犯罪集団」と銘打つ必然性もない。これまで3度廃案となった共謀罪法案は、単なる「団体」とされていた。「組織的犯罪集団」は枕詞に過ぎないから、そこに「テロリズム集団その他の」という枕詞を追加しても、条文の内容に何の変更もない。

法人税法違反について会社の経理部門が組織的犯罪集団と見なされ、それを計画した会社役員と経理担当者が法人税法違反共謀罪に問われる恐れがある。

スクープ報道の裏付けが弱ければ、組織的虚偽風説流布・偽計信用棄損・威力業務妨害罪などに問われ、その記者・編集者たちが組織的犯罪集団と見なされる恐れがある。それを企画した編集会議は、それらの共謀罪に問われる。その企画が団体のために計画したものであれば、これらの共謀罪に問われる恐れがある(法案6条の22項)。

もっとも、このようなケースが現在それほど犯罪に問われているわけではない。一見構成要件に該当するように見えても、実際は、どのような行為態様か、相手方の出方とそれに対する対抗手段、正当行為といえるかなど、「諸般の事情を考慮に入れて、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定し」(最高裁判決)、総合的判断がなされる。

 ところが、共謀罪は、実行前の計画段階で犯罪が成立するから、その計画がどの程度発展するか、計画者すらわからない。実際に比較衡量して社会通念上許されるか総合的判断することができない。

 つまり、今までは実行行為そのものが歯止めになっていたから犯罪に問われないが、共謀罪は実行行為前の計画段階だから歯止めがない。捜査側が違法とする恣意的認定がまかり通る恐れがある。

 いま手元に、沖縄基地反対運動体の「新基地建設の強行を阻止しよう」「ブロック投下を止めよう」というビラがある。法案が成立すると、実力で阻止行動に出るのか、実行行為がないのでわからない段階で、このビラだけで組織的威力業務妨害共謀罪に問われ得る。

 組織的犯罪集団を定義づけている諸外国のように、日本でも、本当に文字通りの組織的犯罪集団対策に限定するつもりがあるなら、破防法適用団体、指定暴力団、特定秘密保護法上のテロリズム定義規定のように、法文上限定することができる。「集団の組織者が○○罪の前科前歴がある集団」などと限定することもできる。にもかかわらず法案に全く限定がないのは、もともと限定するつもりがないからだ。277もの対象犯罪があり、その中にはテロとは無関係なものがたくさんあることは、ターゲットが一般市民に向けられていることを示している。

 諸外国には、警察をチェックする機関がある(ニュージーランドには警察の不祥事を取扱う別の警察組織がある)が、日本には、警察を監督する行政機関がない(公安委員会は有名無実となっている)。その日本の警察の恣意的認定に委ねるわけにはいかない。

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