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2017年5月

2017年5月 6日 (土)

共謀罪政府答弁の誤り

428日衆議院法務委員会で、共謀罪の必要的自首減免規定により「えん罪の危険が増す」との指摘に対して、金田法務大臣は、「捜査では客観証拠、供述の裏付け証拠の収集が重視される」と説明した。

しかし、共謀は合意だけで成立するから、客観的証拠がない。自白供述か盗聴しかなく、供述の裏付け証拠がない。といった場合が通常である。

もっとも、準備行為という要件がある。例えば、犯行下見という準備行為が客観的証拠となるとされる。花見か下見かどう区別できるのかという質問に対して、法務大臣は、ビールと弁当を持っていたら「花見」、地図と双眼鏡をもっていたら「下見」と説明した。しかし、ビールと弁当を持ってカモフラージュすることもあるだろう。

結局、準備行為ではわからない。準備行為が計画に基づくかどうか、その評価はその目的による。その目的の立証には、前記の通り、通常、客観的証拠がない。

ところで、政府は、国際犯罪防止条約に加入するには277もの共謀罪を作るしかない、と説明するが、加入国にこれだけの共謀罪対象犯罪があるのか、一切説明していない。その説明がない限り、とても納得できないといえよう。

そもそも、共謀罪を作らなくても国際犯罪防止条約に加入できる。既に、国会の承認決議があり、外務省が批准手続すればいいだけだ。

にもかかわらず、安倍内閣は、なぜ、共謀罪に執拗にこだわるのか。市民を監視する格好の手段になるから条約を利用しているだけと思わざるを得ない。

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2017年5月 5日 (金)

共謀罪の主体は個人

政府は、共謀罪の犯罪主体は組織的犯罪集団であり、一般市民は関係ないと説明している。

しかし、法案は、2人以上で計画した者が犯罪主体とされており、何ら限定されていない。 もっとも、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の活動として、一定の犯罪遂行を計画した者が処罰されるとするから、組織的犯罪集団の活動として計画されるものではある。

しかし、その組織的犯罪集団とは、組織的逮捕監禁、組織的強要、組織的虚偽風説流布・偽計信用棄損・業務妨害、組織的威力業務妨害、組織的詐欺、組織的恐喝、公正証書原本不実記載、背任、横領、強制労働(労基法5条)、特許権侵害、商標権侵害、脱税、著作権侵害、営業秘密不正取得などを、共同目的として実行する団体とされている。

一般市民と関わりのある犯罪類型がたくさんあり、正当な行為でも見方によってはこれらの犯罪とされる恐れが多分にある(現に、これまでも、労働組合運動や市民運動をはじめ、そのような実例がたくさんある)から、一般市民と関わりないとは到底いえない。これらを「組織的犯罪集団」と称してレッテル張りしているだけである。

具体例で想定すると、沖縄の基地反対運動で、高江の山城議長が威力業務妨害罪などで逮捕され、現在公判中である。

山城議長らの団体は、座り込み(組織的威力業務妨害)を共同の目的として実行する団体であるから、組織的犯罪集団とされ、 その団体の活動として、座り込みを「2人以上で計画した者」が犯罪主体となる。

計画者2人ともが、団体メンバーでなくてもよい。例えば、山城議長の相談によくのっている本土の国会議員、記者など誰でもよい。 彼らが、近々沖縄に行くので、山城議長に、「自衛隊が『米艦防護』した今こそ、すぐに座り込み闘争すべきだ」とアドバイスしようと「計画」し、そのうちの1人が航空券を手配すれば、組織的威力業務妨害共謀罪がこの段階で成立する恐れがある。 山城議長(の側近でも)が上京し、この相談=計画をすれば、なおさらである。座り込みを実行する前だから、どんな座り込みの態様になるかもわからない(全く平穏に行われるかもしれない)のに、犯罪が成立し、逮捕、捜索されることになる。

この座り込みを正当な活動だと擁護する記事を書こうと編集会議をすれば、記事にする前に、組織的虚偽風説流布共謀罪が成立する恐れがある。その記事が本当に組織的虚偽風説流布罪に該当するのか、記事を書く前なので検証しようがないが、共謀罪は記事を書かなくても成立する。琉球新報や沖縄タイムスは、これで弾圧されるといった事態が想定される。 まさに、憲法上の表現の自由が危機に瀕するといわざるを得ない。

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