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2014年2月23日 (日)

「日本は中世」発言したドマ委員が来日する!(1)

昨年5月、国連拷問禁止委員会(ジュネーブ)で、日本の刑事司法を称して、「まるで中世のようだ」と指摘したドマ委員(モーリシャス最高裁判事)が、日弁連の招聘により、いよいよ来日する。

この「中世」発言を捉えて、上田人権人道大使が、日本を代表する最後の挨拶の冒頭に、「『中世』ではない。日本はこの分野では最も先進的な国のひとつだ」と開き直り、会場の失笑を誘い、これに怒って、「なぜ笑う。シャラップ!」と叫び、顰蹙を買ったが、大使は、昨年9月退任した。

来日するドマ委員には、代用監獄、取調べ、死刑、慰安婦問題などについての拷問禁止委員会の日本政府に対する勧告をどう活かすか、お話しいただく。

 

34日午後5時半~8時・弁護士会館171701AB会議室、6日午後0時~2時・参議院議員会館1階講堂→詳細は日弁連HP

 

ところで、法制審特別部会では、相変わらず、時代遅れの審議が続けられている。―

・取調べで供述を得られにくい場合には可視化しなくていい、という例外規定のある法律を作って、どれほどの意味があるのか。

・盗聴法の対象を組織犯罪以外に拡大し、会話傍受まで合法化しようとするのは、証拠を偽造するなどの捜査機関の暴走に対処するために設置されたはずの特別部会の設立趣旨とは正反対だ。

・被告人が公判廷でウソを言えば偽証罪となれば(被告人の証人化)、公判廷では、取調べでの供述調書と異なることを言えば偽証罪とされる恐れがあるから、供述調書と同じ証言をする方が無難という方向に傾く。これでは、供述調書中心主義が一層強まる。弁護人も、偽証罪の共犯になる恐れが出てくるから、供述調書と異なっても真実の証言を、とアドバイスするには大変な勇気がいる。真実の証言をすれば偽証罪になりようがないという建前を言う特別部会の委員がいるが、真実の供述が信用されずえん罪が生まれている現実を全く理解していない。

―こんな法律ができれば、刑事訴訟手続は変質し、一層先祖帰りすることになる。「法制審素案は中世の名残りか」(私の2013616日付ブログ)とますます言いたくなる。

拷問禁止委員会では、多くの委員が、日本では取調べ時間が無制限であり、弁護人も立会わないのはおかしいなどと指摘し、ドマ委員がその多くの委員の気持を代弁するかのように、「まるで中世のようだ」と鋭く指摘したのだが、ドマ委員は、この法制審特別部会の審議をどのように見るだろうか。

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