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2010年3月

2010年3月22日 (月)

誤判原因究明調査委員会の設置を

厚労省元局長の公判で、「私の記憶とは違うが、早く保釈されたい一心で(村木被告の関与を)認めてしまった。」(毎日新聞)との実行犯の証言が報じられている。

1日12時間も、14時間も取調られ、「やったろう」「やってない」の消耗なやりとりを繰り返す我慢比べが取調の実態(志布志事件の任意同行での取調)だ。そのような長時間の取調が連日続けられるというのは、異常である。世界に例がないのではないか。台湾の検事取調は、1回10~20分で、2回程度という。

どうやら、取調の位置づけが、日本と世界では異なるようだ。日本では、とにかく、自白するまで取調べる、被疑者を「弱らせてまで」取調べる(愛媛県警取調マニュアル)、江戸時代のお白洲裁判が未だに続いているというわけだ。

取調べ時間を法的に規制せよ、というのが、国連国際人権規約委員会、拷問禁止委員会の日本政府に対する勧告である。代用監獄での異常に長い取調べ時間と取調べ期間がえん罪を生む大きな原因であることは明らかだ。警察は、この取調と調書作成に膨大な時間とエネルギーをかけているが、税金の無駄遣いといわざるを得ない。もっと、物的捜査にその人員を振り向けるべきだ。

何度も同じ過ちを繰り返してはいけない。志布志事件、引野口事件、氷見事件とえん罪が明らかになり、3月26日には、足利事件の再審無罪判決が予定されている。布川事件では、最高裁決定で再審開始が確定した。

3月4日、日弁連で、「えん罪はなぜ繰り返されるか~第三者機関の設置など、誤判原因究明のための仕組みを考える」市民集会が開かれた。足利事件の菅家さん、布川事件の桜井さん、杉山さんがどうしてウソの自白に追い込まれたか、自らの体験を生々しく語った。指宿教授からは、誤判原因を究明する第三者機関が設置され、刑事司法の改革に取り組んでいる海外の実情が報告された。カメラの放列を浴び、会場は満杯、立ち見が出るという、大変な盛り上がりだった。

裁判員裁判が始まり、刑事裁判に対する市民の関心が高まっているという背景もあるだろう。本年1月、足利事件の再審公判で取調テープが公開されたニュース報道で、テレビ画面の左下に「えん罪原因の究明を求める」というテロップが流れたのが印象的だった。

刑事法学者はもとより、心理学者などを含む学者、弁護士会推薦の弁護士、ジャーナリストらで構成される公的な第三者機関として、調査委員会を設置し、共通するえん罪原因を究明し、刑事司法を改革しなければ、えん罪は何度でも繰り返される。

そこで、日弁連は、3月18日理事会で、「誤判原因を究明する調査委員会の設置を求める」意見書を満場一致で採択した。画期的な提案である。このニュースは、翌日午前11時のNHKテレビで詳しく報じられた。日弁連HPにも直ちに全文掲載された。

私は、日弁連刑事拘禁制度改革実現本部本部長代行として、昨年秋から日弁連内で問題提起し、関係委員会との調整を経て、ようやく意見書採択に漕ぎつけただけに、感慨ひとしおである。

来る足利事件無罪判決を契機に、独立した第三者機関の設置を求めて、大きく世論喚起したい。

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