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2009年7月 7日 (火)

二人の最高裁長官の「思想的対立」

昨日の朝日新聞朝刊Globe-6面は、「脱官僚か、プロの誇りか。裁判員制度の陰に、2人の最高裁長官の『思想的対立』があった」という刺激的な見出しで、注目した。陪審制導入に積極的であった矢口元最高裁長官と消極的であった竹崎現最高裁長官の「思想的対立」について記されていた。

「竹崎現最高裁長官は、今は裁判員制度を推進しているが、もともとは反対側だった。全く信用できない。」とは、ある新聞の社説記事を書いている論者の論評であった。

私も、裁判員法の立法化に当たって、最高裁が、裁判官3名、裁判員2名を執拗に主張し、日弁連が必死で巻き返して、裁判員を6名にしたたたかいの渦中にいたから、あの最高裁が、手のひらを返したように裁判員制度推進の旗振りをしている現状に、違和感を抱き続けていた。

制度が出来た以上、それを失敗させるわけには行かないし、失敗すればトップの責任になるから、今は、トップは推進側に回らざるを得ないのだろう、と解釈する以外に考えられなかった。

その見方は、この新聞記事を読んで、やはり大筋間違いではなかったと思った。しかしそれ以上に深い「思想的対立」があったことがわかった。

私が、日弁連で、巻き返しのために、石坂浩二主演の映画「裁判員~決めるのはあなた」の製作の中心で頑張っていたときの相手は、竹崎さんだったのか、と思った。

最高裁は今の日本の刑事司法を否定できっこないから、最高裁の裁判員制度推進PRにはあまり説得力がない。現状の刑事司法を根本的に批判し、裁判員制度を推進できるのは日弁連しかないので、日弁連独自のPRを遠慮なく展開すべきだと、私は、かねてから日弁連内で口を酸っぱくして訴え続けてきたのであった。

朝日の記事は、竹崎氏の思想の深いところを垣間見させてくれたような気がする。「竹崎自身は、日本の刑事裁判の抱える病巣にメスを入れるために、市民の司法参加が『使える』ことは認識していたようだ。」という箇所だ。たしかに、最高裁は、取調べの可視化に積極的だ。

しかし、竹崎氏は、本当に、「日本の刑事裁判の抱える病巣」を認識しているのか、それに「メスを入れ」たいと思っているのか。この記事にはそれ以上の説明がない。あえて突っ込んでいないのかもしれない。今後の最高裁の対応がそれを明らかにするだろう。

それにしても、山口進Globe副編集長は、よくここまで書いたものだ。ずっと以前からわかっていたこのネタを記事にするタイミングを図っていたものと思われる。

同じ日の夜、テレビ朝日が、痴漢冤罪事件のドキュメントを1時間放映した。現場の裁判所のどうしようもない司法官僚振りと、揺れ動く最高裁判決が対比され、的を射た作品だった。まさにタイムリーなドキュメントであった。

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