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2009年4月

2009年4月10日 (金)

舞鶴女子高生殺人事件容疑者逮捕と裁判員制度

昨年11月窃盗で逮捕され服役中の容疑者が本件の殺人容疑で逮捕された。窃盗は別件逮捕のようである。

本件では物的証拠が乏しく、逮捕してから自白を強要しようというのでは、典型的な見込み捜査である。

本件逮捕のきっかけとしては、ビデオ映像の解析結果が出たとか、証人が現れたという報道がなされている。問題はそれらがいつのことか、ということである。

というのは、なぜ今逮捕なのか、という疑問がわくからである。2008年5月の事件であるから、1年近くも経ってようやくビデオ映像の解析結果が出たのだろうか。それほど時間がかかるものか。証人はいつ現れたのか。

私は、5月21日施行される裁判員制度が視野にあるからではないかと、ピンときた。

果たして、報道を見ると、「逮捕を捜査のスタートにしてこれから自白を引き出したいとの狙いがあるのではないか…こうしたやり方は古い日本の捜査手法であり、5月から始まる裁判員裁判では受け入れがたい捜査手法ともいえる」との土本武司・元最高検検事の談話が紹介されたり、「5月に裁判員制度スタートを控える中で、刑事裁判では今まで以上に客観的な証拠が重視される流れが強まっている。死刑求刑も予想される重大事件の立証で、第三者にも十分伝わる説得力が伝えられるのか」との記事(以上、いずれも産経ニュース)が目についた。

この時期に逮捕すれば裁判員制度施行前に起訴となり、プロの裁判官だけの現行の刑事裁判で審理される。逮捕が遅れ5月21日以降に起訴となると、裁判員裁判で審理されることになる。捜査当局は、この物証の乏しい事件を現行の刑事裁判でやった方が有利と思って、あわてて今駆け込み的に起訴したのではないか、と思ったのだ。

このことは、裏を返せば、今の刑事裁判に、白黒分からないときには黒になるという推定有罪の実態があることを示している。裁判員裁判になれば、検察の立証が不十分であれば無罪となるという推定無罪の本来あるべき近代刑事司法が実現する可能性を捜査側が認識していることの証しでもあるといえよう。

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