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2009年2月

2009年2月22日 (日)

検察立証が逆効果かー江東区バラバラ殺人事件判決

妥当な判決である。殺人事件の被害者が一人で、計画性がなく、前科前歴がなければ、永山事件最高裁判例に基づき、前世紀までは無期懲役までであった。今世紀になってから、重罰化の風潮の中で、死刑判決が出たケースもあるが。

世間では、バラバラ殺人というセンセーショナルなマスコミ報道で、死刑が当然という雰囲気があるのかもしれないが、バラバラは、遺体損壊のやり方であって、殺人の方法ではない。バラバラの残虐性は、死体損壊についてであって、殺人についてではない。もっとも、憎しみのあまり殺害して、死体もバラバラに損壊したというのであれば、死体損壊の残虐性が殺意の残虐性にも関わってくるが、本件の場合は、憎しみのあまりの殺害ではなく、死体損壊の残虐性は証拠隠滅の動機によるものであった。「死刑選択の当否という場面では死体損壊、死体遺棄の悪質性を過大評価することはできない。」との判決はきわめて冷静である。

従って、本件で無期懲役判決は当然といえよう。ただ、重罰化の風潮の中で、これだけ世間の注目を浴びれば、今世紀の死刑判決例から見ても、今回死刑判決の可能性があったことは否めない。

ところが、そうならなかった理由は、永山最高裁判例だけでなく、検察側の立証のやり方が逆効果を招いたという面もあるのではないか。200枚以上の写真を法廷で見せる、再現ビデオを含めて4日間も被告人質問に期日を使うといったやり方は、事実関係を争わない事例としては、公判廷で傍聴席にまで映像で見せるには明らかにやり過ぎであった。検察側が感情に訴えた、劇場型裁判であるという批判が出るのは当然である。裁判官は、この批判が裁判所にまで及ぶことを恐れたと思う。検察のこのような立証を容認したのは裁判所にも責任があることは明らかである。死刑判決を出すことによって、裁判所がもろに非難の矢面に立つことを避けた、という要素があったのではないか。

いずれにしろ、賢明な判断であった。裁判員裁判においても、裁判長が冷静な、公平な訴訟指揮をすることを期待する。

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2009年2月11日 (水)

刑事裁判判決後の損害賠償命令制度

昨年12月、被害者参加制度と共に施行された。刑事裁判の被害者や遺族が、民事裁判を起こさなくても刑事裁判の記録を利用して、被告人に損害賠償請求できる制度である。

広島地裁に続いて、今回東京地裁でこの制度が適用されたことが報じられた。

刑事裁判の有罪判決後、同じ裁判官により直ちに審理が始まり、原則として4回までに決定が出され、異議が出されれば通常の民事裁判に移行する。申立手数料は一律2000円と格安だ。

東京地裁のこのケースは、治療費、慰謝料など計60万円の支払いを求めて申立たという。

一般的には、犯罪被害者が加害者(被告人)に損害賠償請求しても、被告人に資力がなく、実効性がない場合が多い。そこで被告人としては、刑事裁判の終結までに、親兄弟などから資金調達して、示談にして、刑を軽くしてもらおうとする。被害者側も、このときしか回収の見込みがないから、示談に応じる。

このパターンはこの制度が施行されても変わらない。やはり、基本は、刑事裁判終結までの示談交渉である。

ただ、示談が成立しなかったときに、この制度が威力を発揮する余地が出てくる。従来の刑事記録がそのまま利用でき、従来の事情を知った裁判官がそのまま審理し、通常、被害者代理人として刑事公判にも参加した弁護士が引き続き担当することになるであろうから、関係者が簡易迅速に対応できる。

刑事裁判とは別に民事裁判を起こさなければならない従来のやり方では、60万円程度の請求に弁護士が対応できるか(弁護士費用との関係でペイするか)という問題が出てくるのだが、この制度であれば簡易迅速な手続なので、比較的クリアできそうだ。回収も、不可能ではないかもしれない。

この制度は、被害者にとって便宜であり、評価できる。今後どのように利用されるか注目してみたい。

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2009年2月 7日 (土)

第二東京弁護士会の会長選挙

2月6日に行われた第二東京弁護士会(二弁)の会長選挙は、

        投票総数                                                    2091 票

        川崎候補                                                     954 票

        小池候補                                                     718 票

   

      森川候補                             396 票

という結果でした。

司法改革・裁判員制度反対派の得票率が、1年前の日弁連会長選挙では全国平均で4割もあり、押され気味の勢いがあったのですが、今回の第二東京弁護士会の選挙では、396票と、2割弱にとどまったのは、反対派の勢いを止める貴重な成果であったと思います。

今回の選挙が、「たじろがず、ひるまず」司法改革を進める二弁として、日弁連としての推進力になったという意味で、大きな意義があったと思います。

みなさん、ご苦労さんでした。

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