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2008年12月27日 (土)

警察庁の監督制度で問題事例15件

 取調べの適正化のために9月から試験的に始まった警察庁の監督制度は、3ヵ月半の間に15件の問題事例が認められたと発表された。15件が多いのか、少ないのか。

 そもそもこの制度は、鹿児島県志布志事件、富山県強姦冤罪事件と、立て続けに無罪判決が出されたことがきっかけとなってできたのであるが、全取調べを録画すべきであるという世論の批判をかわすための小手先の制度である。

 署長の事前の承認がない深夜の取調べや8時間を超える取調べはダメ、といっても、署長の承認さえあればOKなのだから、もともとしり抜けである。狭い密室(日本は台湾などと比べても極端に狭い)で連日8時間以上も取調べを続けること自体が人権侵害であり、自白の強要であり、信じられないというのが国際社会の感覚である。だから、国連国際人権規約委員会は、この10月、日本政府に対して取調べの可視化を勧告した。

 任意の取調べであるのに、帰ろうとした容疑者の両腕をつかんで強引にいすに座らせた例があったというが、任意捜査という名の事実上の強制捜査はいつものことであり、またか、という思いである。志布志事件、矢上事件(前回の「川辺川ダム休止」で紹介)では、関係者が任意という名の下で、12時間以上、14時間も取調べられ、その間、水も茶も与えられず、休憩も全くなかったケースがある。詳しくは、ブックレット「えん罪志布志事件 つくられる自白」(日弁連編、現代人文社)、DVD日弁連製作ドキュメント映画「つくられる自白~志布志の悲劇」(新日本映画社販売FAX03-3496-2791)をご覧下さい。

 取調べ室でカツ丼を食べさせ利益誘導するというのも常套手段であるが、今回も、コーラやチョコレートを与えた例が報告されている。

 また、机を取り払って女性容疑者と2日間にわたってひざ詰めで取調べたというとんでもない事例まで報告されている。

 警察庁は、いずれも供述の任意性に問題がなかったとして、口頭の注意にとどまっているというが、いかにも甘い処理である。

 警察の内部だけの制度ではこのように甘くなるのは必然であろう。

 全国の都道府県に、留置施設視察委員会という第三者機関がある。少なくとも、留置業務に絡む深夜、長時間の取調べについては、この委員会が問題事例(8件ある)としてあげられた現場を徹底的に調査すべきであろう。

 裁判員裁判になれば、「供述の任意性に問題がなかった」などといってすまされるか、市民の感覚と常識に問いたい。

 そろそろ警察はこのような取調べのパターンを見直したらどうか。

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