比例区削減で官僚支配を打破できるのか 民主党の最大の矛盾
民主党のマニュフェストに衆議院比例区議員定数の削減が掲げられている。
えっ、と思った。この党は「官僚支配の打破」をメインスローガンにしているのではなかったのか。官僚=行政権力を抑えるためには、立法権力が相対的に強くなければならないはずである。
三権分立とは、立法、行政、司法の権力を均衡・抑制(チェック&バランス)して鼎立させることをいう。
歴史的に見ても、行政権力の肥大化を抑えるために、立法権力=議会制民主主義が発展してきた。
米国では、行政権力の肥大化に対抗して、執行作用の一部を行政府から分離し、その責任は国会が補完するという発想から、独立行政委員会という第三者機関を生み出した(駒村圭吾「権力分立の諸相ーアメリカにおける独立機関問題と抑制・均衡の法理」南窓社)。第三者機関は、本来、行政権力からの独立性を本質とする。日本の公正取引委員会、中央労働委員会、公害等調整委員会などがそうである。
日本国憲法には、「国会は、国権の最高機関」(41条)と明記してある。その国会の議員定数を減らして、どうして行政をチェックできるのか。国会議員が減れば、官僚の上にますます乗っかるしかない。
官僚支配を打破するためには、相対的に、立法府=国会を質量共に充実させなければならないのに、なぜ、議員定数を減らそうとするのか。民主党の公約の最大の矛盾であろう。
自民党も、同じように議員定数削減を公約しているが、この党はもとから官僚組織に乗っかって成り立ち、党の公約も官僚が作文しているというから、官僚組織を強める議員定数削減は党にとって矛盾する話ではない。
ところで、定数削減の対象は、比例区だという。
比例代表制は、国民の政治参加を最大化するものである。合意形成的民主主義である。これに対して、小選挙区制は、多数決民主主義であり、勝者がすべてを独占する。合意形成的民主主義は、できる限り多くの観点を考慮に入れる。権力を共有し、拡散し、抑制するものであり、政治的ポピュリズムの影響を受けにくい。
その比例区定数を削減するというのだ。財政支出の削減をこんなチマチマしたところに求めて、日本の議会制民主主義を弱体化させてはならない。
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